最近では数年ぶりの企業の賃金ベースアップ報道をはじめ失業率の減少、株価の上昇など景況感を感じさせるニュースを耳にしておりますが、今回はその要因となったアベノミクス政策について書きたいと思います。

 まずはおさらいとしてアベノミクス政策とはどのような政策なのでしょうか。アベノミクスの語源の由来は1981年1月20日から1989年1月20日の間にアメリカ合衆国の大統領として就任したレーガン大統領が行ったスタグフレーション状態の経済の回復に向けた自由主義経済政策の「レーガン」と「エコノミック」を結びつけたレーガノミクスに由来し、第二次安部内閣が2012年12月26日に発足したのちに2013年2月28日 第183回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説に打ち出した「3本の矢」と呼ばれる政策を柱とし、「停滞の20年」を踏まえてデフレからの早期脱却と「再生の10年」を目標に掲げた成長戦略の経済政策です。

 この3本の矢とは「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資の喚起」であり端的に言えば「デフレマインドを一掃しデフレ脱却に向けた大胆な金融緩和」、「積極的に公共事業を推進」し景気を引っ張ることで民間の活力に火をつけ、更に活性化された民間からの「民間の投資意欲を引き出す」といった成長戦略を同時に(実際の経済活動では段階的に)展開することで「経済政策パッケージの実行により日本経済を再び成長軌道に」を目的とする成長戦略を意味します。
 その成長概要としては「持続的経済成長の好循環」「マクロ経済(景気)とミクロ面(構造問題)の好循環」「経済再生と財政健全化の好循環」の3つの循環を「3本の矢」によって最大限発揮することにより名目「GDP成長率3%程度、実質GDP2%の実現」と、「日本経済再生に向けた成長戦略」に繋げていくことを目標としています。

 さて実際のアベノミクス政策の効果ですが第1の矢については大胆の金融緩和政策とはデフレ脱却を目的として「消費者物価上昇率2%目標」と「マネタリーベース増加」更に目標を達成するまでは「無期限の金融緩和」と掲げた大胆な金融緩和政策、「名目3%以上の経済成長の達成」等の日本銀行との政策連携をベースにした経済の持続的な成長の確保を目的とした政策についてですが、金融緩和政策に向けて日銀の黒田日銀総裁が発表した「量的・質的金融緩和」による「2年間でマネタリーベース(市場への資金供給量)を2倍」にすると発言したことは決して大胆な発言ではなく昨年以来、市場へ資金供給量が増やすことで円安・株高の継続とGDP成長に繋がり雇用に関しては失業率改善につながり経済効果があったと言えます。さらに目標に関しては2014/04/02に1.5%の物価上昇率を見込んでいると目標は達成できなかったものの2年後には物価上昇2%を見込んだ金融政策を打ち出しています。安定的な物価上昇は失業率低下とGDPの成長につながり、将来的には長期的な日本経済の成長に繋ぐ土壌を作る目的があると考えられます。しかし一方では今回の金融緩和政策により金利上昇につながってしまった、消費税の増税により消費・設備投資の伸び悩みも見られ不安定な面がみられます。更には物価上昇はしているものの増税により消費・投資が停滞しGDP成長も停滞してしまいスタグフレーションが起こる可能性もあると考えられます。

 次に第2の矢の機動的な財政出動については2013年の公共事業予算に10兆円超をくみ補正予算を大幅に組むことで公共投資を増加することで景気の下支えを行いながら民間企業に景気を牽引する役目を渡し、税対策で消費税8%上昇につなげる政策をとっています。
 さて企業側でのアベノミクス政策効果ですが、プラス面では実際に景況感の改善に繋がったと返答する企業が多く、その結果従業員の賃金ベースアップを行っている企業も多く見られることから企業側の方が一般家庭より顕著にアベノミクスの恩恵があったと言えます。反面では物価上昇により原材料の仕入れ価格の上昇・コスト増加が上がっておりこのアベノミクス政策が企業側での利益拡大に繋がるかは長期的にみる必要があるようです。
 マクロ経済の視点で見れば現段階ではこの経済政策効果については名目GDP1%に寄与している、消費税8%の上昇に踏み切っていることから効果があったとの評価もありますが、他面では国債の発行による赤字財政の膨らみが見られ一概には良いとは言えないようです。

 第3の矢に関しては「第1の矢」の政策目標達成・「第2の矢」に続く成長戦略であり、その前提としてTPP交渉による関税撤廃と輸出貿易促進がカギとなるとして注目されていました。TPP交渉については「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として2013年2月に参加を表明しましたが、この効果は実際には期待とはうらはらに輸出減少・輸入増加となり過去最大の貿易赤字額となっています。現時点ではアベノミクスやTPP参加による輸出促進効果は見られず長期的に見る必要があると思っています。更に消費税8%増税に踏み切った背景もあり第3の矢として「民間投資の喚起」については現時点では輸出促進に繋がらず民間の設備投資額も減少しており思ったような効果は得られていないような状況のようです。

 最後に私なりの感想ではありますが今回のアベノミクス政策の効果は第一の矢の政策効果は株価上昇・円安傾向・物価上昇につながり順調に経済成長につながったように感じられますが、第2の矢・第3の矢の効果は現状、効果があまり見られず長期的見ていく必要があると思っています。今後の課題としては「聖域を守りながら自国の輸出促進に繋げるTPP交渉問題」・「法人税の実効税率の引き下げ」をはじめ「民間の消費意欲・投資意欲の喚起対策」、「公共事業により発行した国債の膨らみによる赤字財政対策」、「貿易収支赤字に向けた対策」など様々な面の政策に注目が必要ですが、その中で私たちができることは「デフレマインドを一掃」していくこと、そして民間側でも景況感ムードを高めつつ民間投資増加に繋げる一翼を担っていくことがアベノミクス効果を高めるとともに長期的な日本経済の成長に不可欠であると考えています。