2015年10月に差し掛かり番号法が施行されマイナンバー通知カードが送られてくる時期になりました。今回はマイナンバー及び「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)について書かせていただこうと思います。
 まずはマイナンバー制度とはどのような目的で施行されどのような内容の制度なのでしょうか。
 マイナンバー制度は「社会保障と税の一体改革の一つとして創設された制度であり、国民及び外国籍の方でも住民票を持つ方を対象に個人番号を通知し、社会保障・税を収める行政手続きに番号を付与し同じ一人の個人情報であることを識別するための番号制度です。その目的は「行政を効率化し」「国民の利便性を高め」「公平・構成な社会を実現する」社会基盤として活用され、平成28年1月から社会保障、税、災害対策の行政手続きで必要とされます。

 この制度の根拠とする法律は「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(番号法)であり全77条からなります。
 この番号法は政府が2009年12月 「平成22年度税制改正大綱」で、番号制度の導入について言及したことに始まり、2013年5月24日 参議院本会議においてマイナンバー関連4法案が可決、成立しました。そして2013年5月31日にマイナンバー関連4法「行政手続きにおける特定個人を識別するための番号の利用等に関する法律」「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」「地方公共団体情報システム機構法」「内閣法等の一部を改正する法律」が公布されています。
 それではこの番号法が施行されることでどのようなメリット・デメリットが考えられるのでしょうか?
 メリットとして予想されていることとして、一つ目が「行政の効率化」として現状、この番号法が施行される理由は行政手続きの簡素化であることからこの法律が施行されることで行政手続きにおける添付資料の削減はもちろん、情報の照合・転機等に要する時間・労力が大幅に削減され正確で迅速な行政運営が実現されます。
 二つ目が「国民の利便性」を目的としてマイナンバーを使用したマイナポータル等によって行政より適正な情報が各個人に与えられるようになり本人や家族にサービスやお知らせが通知されるようになり更に行政の利便性の向上が図られることになります。
 三つ目が「公平・構成な社会の実現」であり、番号で税・社会保障等が管理されることで、脱税防止や不正受給の防止、適切な支援が図られることになります。

 さて半面、この番号法が施行されることで国民にはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
 まずはそうすることで番号一つで税を管理されることで副業が隠せなくなります。所得税、源泉徴収等の書類には必ずマイナンバーの記載が必要であり会社には本人確認を必要としたマイナンバーの提示・提出が必要になります。そして確定申告時点で副業での収入を会社に申告する必要があります。今までは確定申告時点で所属企業に申告せず個人で申告して企業には知られることのなかった副業収入ですが、この制度の施行によって税務署にマイナンバーによって収入や税が管理されてしまうことで個人の情報照会が容易になり収入源が明るみになりやすく所属企業に隠れて副業が難しくなるようです。それによって一般見解では繁華街などで今まで隠れて副業を行っていた方がやめることを余儀なくされ繁華街での人手が減り活気が落ち込むと予想されると言われています。
 次に番号一つでの行政への税・社会保障・災害手続きが可能になったこと成り済ましや詐欺の発生が予想されることが想定されます。適正に管理されることで本来であれば成り済ましが難しくなると思われがちですが、本人確認があるとはいえ手続きの簡素化によって添付資料が削減されることで 本人に成り済まして情報照会・手続きをする犯行が増えると思われます。当面、「マイナンバーカード」は大切に保管し、通知カードと本人確認によってマイナンバーの照会が行われるようですが、成り済ましによるそのリスクは想定しなければならないのかもしれません。(情報照会、手続きについてはマイナポータルによって履歴が残りますが、当人がポータル事態が見れない状況下に置かれた場合、その危険性は考えられます。)同様に詐欺についてもこの番号法施行によって新たな詐欺の発生が予想されしばらくは自己責任によって厳重にマイナンバーを保管してその運用を様子見をしなければなりません。
 さてこのマイナンバーの導入によって最も怖いのは「情報漏えい」リスクでしょう。このリスクは本人のみならず企業もおびえているはずです。マイナンバーを含む個人情報は今後「特定個人情報」として扱われることになり、情報漏えいなどを起こした場合には罰則が科されることになります。これは今までの個人情報保護法とは異なる点であり、仮に企業の個人番号利用事務や従事者が正当な理由なく業務で取り扱う個人の秘密を記録した情報が漏えいした場合、最大四年以下の懲役、200万以下の罰金が科されることがあるようです。更にこの番号の漏えいに関する罰則は両罰規定があり、罰則が担当だけではなく法人の代表にも科される可能性もあるようです。
 その他、企業側が恐れているリスクとしては、起業には従業員の番号収集方法や取り扱い規定の作成の責任が科されますがこの運用がいい加減に行われた場合、この特定個人情報は内閣府の外局である特定個人情報保護委員会によって監視、監督下に置かれてしまうこと。番号法によって新たに行政に踏み込まれる余地ができてしまうのは企業にとってはリスクといえるでしょう。その為、企業でのこのマイナンバーの運用には運用スケジュールを定め方針の明確化と規定を整備することは勿論、十分な安全管理措置を検討して行わなければなりません。

 さてこのマイナンバー制度の今後の展望ですが、現在、民間での使用は検討中とのことですが、将来的に本人確認として使用されることは勿論、健康保険証、図書館カード、銀行預金への紐づけ番号として使用することを計画しているようです。

 今回はここまで。次回も引き続きマイナンバーについて書きたいと思います。