昨日の政府有識者会議では集団的自衛権についての憲法第9条の解釈について「憲法第9条は集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではない」とされ13日に首相に提出される段階となりました。今回は集団的自衛権の行使・集団安全保障の容認とは何なのか、更には現状の政府方針についてとその見解について書いていこうと思います。

 さて集団的自衛権とは何なのでしょうか。集団的自衛権の行使問題でキーワードとなるのが、「集団的自衛権」「個別的自衛権」「集団安全保障」「平和維持活動」です。「集団的自衛権」とはこれは隣国が武力攻撃を受けたときに自国が不測の自体に陥る可能性がある場合において自衛隊を派遣してその武力攻撃を対処 することで自国の安全を守るという国際法上の権利のことです。次に「集団安全保障」とは例えば国連加盟国の1国が武力攻撃を受けた時にその他の国連加盟国 が制裁するというものです。集団的自衛権・集団安全保障の行使については現在日本は国際連合憲章上は容認しているのにもかかわらず憲法第9条武力による威 嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」とし、武力行使の最小限度を超えてしまい許されないといった解釈をとっており禁じられていました。対して自国が武力攻撃を受けた時には武力行使に対処する権利を「個別的自衛権」と呼んでおりこれは現行法上容認されています。また「平 和維持活動」については集団安全保障とは別の活動とされ、国連が世界各地の紛争地域の平和の維持を図る手段としてまだまだ反対も多いですが可能とされています。
 しかし現在、加盟国から見れば「集団的自衛権・集団安全保障が国連憲章では容認しているにも関わらず」日本だけ参加しないのはやはりおかしいのではないかと加盟国から見られ国際関係にも影響がでてくる可能性もあるため現在容認に向けて協議をすすめています。
憲法改正によって進めるのか、憲法9条解釈によって集団的自衛権の行使容認に進めるのかその点も争点とされましたが現在憲法9条解釈について協議を進めています。

 今回の有識者会議では中国の軍事拡張、北朝鮮の脅威による安全保障環境がゆらいでいる安全保障背景があり条件を明確にした上で「憲法第9条は集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではない」とされ集団的自衛権とさらに「グレーゾーン事態」の関連法改正を行いグレーゾーン自体への対処の法整備をすることで不測の事態への対処することの重要性を訴求しています。現在、この有識者会議の報告書の提出を受け来週にも政府基本方針を表明、その後に集団的自衛権で守る事例集を定め公明党に理解を求める閣議調整段階となっています。

 さて今回の集団的自衛権・集団安全保障の話題として世論ではして次のようなことが挙げられます。
■国際平和希求・良好な国際関係を保つためには集団的自衛権の行使・集団安全保障は必要である。
■国連平和維持活動(PKO)で、自衛隊はNATO加盟国部隊がゲリラに襲われても駆けつけて警護できない。
■日本近海の公海で米艦が攻撃されても自衛隊は守れない。
■自衛隊の本質が損なわれてしまい生命に危険性が及んでしまう。
■東アジア近隣諸国からは日本の集団的自衛権には反対意見が多い。

 同盟諸国から守ってもらうことがあっても同盟諸国が襲われても助けることができない、更には良好な国際関係を保つことができず政治的弱みとなってしまうという意見が世論でも強くなっています。しかし反面では自国が直接的に武力攻撃を受けているわけでもないのに現行の憲法解釈では自衛隊を危険にさらすことはないのに行使容認をすることで自衛隊の生命に危険を及ぼしてしまう危険性をもってしまうことを強く認識する必要があるようです。
 また近隣諸国の反応に関しては戦時中での日本の歴史問題も加わり東アジア近隣諸国からは日本の集団的自衛権の行使に関しては反対意見が多くあまり協力的ではない状況がうかがえます。

 私の意見としては集団的自衛権の行使容認に対して憲法改正ではなく憲法解釈により行う点には賛同します。憲法改正ではこれまで個別的自衛権のみとされてきた平和希求への日本の憲法本質が失われてきます。更には改正することでは他国への「積極的な武力行使」を行ってしまう可能性もでてくる、その点に関しては多少曖昧模糊な要素を含んでいたとしても憲法解釈を変えることで積極的にではなくあくまで自衛目的の観点から集団的自衛権の行使容認をすることには賛成です。しかし反面では解釈を変えるという曖昧な要素を含んでしまうことでグレーゾーン自体も含め明確な定義づけが必要であり、一例一例の事態に慎重な姿勢が必要になると考えられます。
 また集団的自衛権の行使容認・集団安全保障容認については自国を守るわけではないのにも関わらず自衛隊の自衛隊の生命に危険が及んでしまう、更には自衛隊の自国の安全を守るという本質が損なわれ、「亡国のイージス」となってしまう危険性をはらんでいることも否めず、良好な国際関係を保つためとはいえまだまだ素直に賛同はできない要素があると考えています。
 このような点を踏まえて両側面から今後の閣議内容をみつめていきたいと思います。

【日本国憲法】
■憲法9条 戦争の放棄、戦力の不保持および交戦権の否認
①日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。

【国際連合憲章】
第7章 平和に対する脅威、平和の破壊および侵略行為に関する行動
第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和および安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置は、田立に安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和および安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基づく機能および責任に対しては、いかなる影響を及ぼすものではない。